2013年7月21日日曜日

組合員は「お客さま」か

1990年代前半のことです。

大学生協旅行部に顔を出したとき、「お客さま、何のご用ですか?」と、ある職員に声をかけられました。

ある職員とは、その後、専務に昇格していったK旅行部長のことです。

声かけは営業活動の基本ですし、営業心得に忠実な行動ともいえましょう。職員研修でもトレーニングしているもしれない。

ただ、協同組合において、この言葉使い、そしてこの言葉を当然のものとする職員の意識は、組合員と職員の関係を、単なる顧客と従業員の関係に転化させる重要な転機となりかねません。

「組合員」と「顧客」は本質的にどこが異なるのか。

組合員は、施設やサービスの利用を通して、つまり協同組合の運営に参加することで、経営上の問題点や改善点などを指摘し、よりよい方向に変えてゆくことができます。いわゆる「組合員の声」が、それですね。

しかし、「組合員の声」は、単に利用者の声を届けることだけではありません。それは、他の小売業も行っていることですから。

組合員は、利用などの参加を通して、組合員の目線だけではなく、職員や役員の立場からも運営に関与できる。ここが協同組合の独自性でしょう。

だから、組合員は、希望さえすれば、総代として意志決定の最高機関で発言することができますし、理事や監事にもなれます。食堂運営委員会や書籍運営委員会などの各種委員会にも参加し、委員会がない場合は自ら作ることもできる。

また大学生協の組合員にあっては、アルバイトなどで生協の仕事を行うことも可能です。卒業後、生協職員として働く場合もある。こうした学生組合員は、生協事業のことをよく分かっている場合が多い。こうした組合員のことを「お客さま」とは呼ばないでしょう。

つまり、組合員が同時に職員であって、また同時に役員でもありうる。この仕組みを組織運営において用意しているのが協同組合の特徴です。

他方、組合員を「お客さま」と呼び、「顧客」と意識するとどうなるか。

職員から見て、「お客さま」とは、サービスの提供相手であり、購入行動に対する関心も自分の担当部門に限定されます。つまり、担当部門の供給増がもっぱらの課題となります(職員から従業員への転化)。

組合員から見ても、「お客さま」と呼ばれると、それが言霊となり、顧客意識が強まる(組合員から顧客への転化)。

「参加」意識は双方に希薄化します。

生協運営の危機は、こうした小さな事柄から始まるのかもしれません。

では、「お客さま」の代わりに何を使うか。地域生協では「メンバーさん」と呼んでいるところもあるようです。

古くさいですが、「組合員さん」が適当ではないかと思います。もっと適切な表現があったら良いのですが。





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