1990年代前半のことです。
大学生協旅行部に顔を出したとき、「お客さま、何のご用ですか?」と、ある職員に声をかけられました。
ある職員とは、その後、専務に昇格していったK旅行部長のことです。
声かけは営業活動の基本ですし、営業心得に忠実な行動ともいえましょう。職員研修でもトレーニングしているもしれない。
ただ、協同組合において、この言葉使い、そしてこの言葉を当然のものとする職員の意識は、組合員と職員の関係を、単なる顧客と従業員の関係に転化させる重要な転機となりかねません。
「組合員」と「顧客」は本質的にどこが異なるのか。
組合員は、施設やサービスの利用を通して、つまり協同組合の運営に参加することで、経営上の問題点や改善点などを指摘し、よりよい方向に変えてゆくことができます。いわゆる「組合員の声」が、それですね。
しかし、「組合員の声」は、単に利用者の声を届けることだけではありません。それは、他の小売業も行っていることですから。
組合員は、利用などの参加を通して、組合員の目線だけではなく、職員や役員の立場からも運営に関与できる。ここが協同組合の独自性でしょう。
だから、組合員は、希望さえすれば、総代として意志決定の最高機関で発言することができますし、理事や監事にもなれます。食堂運営委員会や書籍運営委員会などの各種委員会にも参加し、委員会がない場合は自ら作ることもできる。
また大学生協の組合員にあっては、アルバイトなどで生協の仕事を行うことも可能です。卒業後、生協職員として働く場合もある。こうした学生組合員は、生協事業のことをよく分かっている場合が多い。こうした組合員のことを「お客さま」とは呼ばないでしょう。
つまり、組合員が同時に職員であって、また同時に役員でもありうる。この仕組みを組織運営において用意しているのが協同組合の特徴です。
他方、組合員を「お客さま」と呼び、「顧客」と意識するとどうなるか。
職員から見て、「お客さま」とは、サービスの提供相手であり、購入行動に対する関心も自分の担当部門に限定されます。つまり、担当部門の供給増がもっぱらの課題となります(職員から従業員への転化)。
組合員から見ても、「お客さま」と呼ばれると、それが言霊となり、顧客意識が強まる(組合員から顧客への転化)。
「参加」意識は双方に希薄化します。
生協運営の危機は、こうした小さな事柄から始まるのかもしれません。
では、「お客さま」の代わりに何を使うか。地域生協では「メンバーさん」と呼んでいるところもあるようです。
古くさいですが、「組合員さん」が適当ではないかと思います。もっと適切な表現があったら良いのですが。
2013年7月21日日曜日
2013年7月2日火曜日
大学生協とコメ
6月下旬に学会で新潟大に行ってきました。
そこの生協食堂で昼食をとったのですが、新潟大に勤務している後輩が、ここのコメは道産米を使っている、と嘆くのです。
なぜ、地元の新潟コシヒカリを扱えないのか、と。
確かに、食べた豚黒胡椒炒め丼は、北海道産米のようでした。なぜこうした状況になっているのでしょうか。
ほぼ東日本全域の大学生協が参加する「東4地区」で、食材物流の統合をすすめたのが2011年。新潟大で地元コシヒカリが扱えなくなった要因もそこにあります。
出来上がった仕入システムと異なった行動をとると、全体の効率が悪くなるため外れることができない。
では、個々の大学生協の組合員や役員が要求してもだめなのでしょうか?
後輩は理事会で要求を続けるそうですが、打開は難しそうです。そこには、値段の問題ではなく(彼は農業団体とパイプがあるので値段はなんとかなる)、システムの問題が伏在しているからでしょう。
それにしても、組合員の誰が、組織よりもシステムを上位に置くことを許容したのでしょうか?
大学生協全体の経営のためには、コスト削減効果のあるシステムがより望ましいという意見はわかります。
けれども、仮に、システムを認めたとして、次の問題にはどのように対応できるのでしょうか。
例えば、新潟県内の外食業者がコシヒカリ米中心のレストランを学内で始めたいと要求し、地域貢献性の面でその外食業者を大学側が選んだとすれば、大学生協はどのように反論を用意するのでしょう。
大学生協の将来が不透明で、それゆえに事業連合では中長期プランの策定をすすめています。よく分かる。ただ、危機を生じさせている本質的な要因は、果たしてどこにあるのでしょうか。
そこの生協食堂で昼食をとったのですが、新潟大に勤務している後輩が、ここのコメは道産米を使っている、と嘆くのです。
なぜ、地元の新潟コシヒカリを扱えないのか、と。
確かに、食べた豚黒胡椒炒め丼は、北海道産米のようでした。なぜこうした状況になっているのでしょうか。
ほぼ東日本全域の大学生協が参加する「東4地区」で、食材物流の統合をすすめたのが2011年。新潟大で地元コシヒカリが扱えなくなった要因もそこにあります。
出来上がった仕入システムと異なった行動をとると、全体の効率が悪くなるため外れることができない。
では、個々の大学生協の組合員や役員が要求してもだめなのでしょうか?
後輩は理事会で要求を続けるそうですが、打開は難しそうです。そこには、値段の問題ではなく(彼は農業団体とパイプがあるので値段はなんとかなる)、システムの問題が伏在しているからでしょう。
それにしても、組合員の誰が、組織よりもシステムを上位に置くことを許容したのでしょうか?
大学生協全体の経営のためには、コスト削減効果のあるシステムがより望ましいという意見はわかります。
けれども、仮に、システムを認めたとして、次の問題にはどのように対応できるのでしょうか。
例えば、新潟県内の外食業者がコシヒカリ米中心のレストランを学内で始めたいと要求し、地域貢献性の面でその外食業者を大学側が選んだとすれば、大学生協はどのように反論を用意するのでしょう。
大学生協の将来が不透明で、それゆえに事業連合では中長期プランの策定をすすめています。よく分かる。ただ、危機を生じさせている本質的な要因は、果たしてどこにあるのでしょうか。
2013年6月19日水曜日
総代会挨拶
総代のみなさん。お集まり下さりありがとうございます。
昨年度から理事長を務めております経済学部の佐藤信と申します。理事会を代表して一言あいさつを申し述べます。
北海学園生協は1959年に設立し、今日の総代会が54回目、創立から54年という長い歴史を有しています。北海学園生協は、学生と教職員たちの出資によって作られた協同組合組織です。活動エリアは北海学園大と北海商科大の二つの大学にまたがっていますが、北海学園という学校法人とは、敷地は一緒でも運営主体は異なっています。
本日は、原則として年1回開かれる総代会です。総代会は、協同組合の組合員が意思を決定することのできる最高の存在-機関-として位置づけられています。
協同組合は民主的な組織と言われています。「民主的」の意味は、組合員の一人一人が運営に参加して、様々な対話、議論を交わして、物事を決めてゆくプロセス重視の組織体であることに由来しています。
ただ、民主的組織の根本原理として、多数決の決定事項を重んじるだけではなく、むしろ少数意見を尊重する、つまり、一人一人の声にいかに答え、運営に活かしてゆくかが重要であると考えます。
本日、総代会に組合員のみなさんが総代として参加し、重要事項を審議し、決定することは協同組合運営にとって重要であることは言うまでもありませんが、「組合員の声」や「利用」などを通して、一人一人が日常的に運営に参加していただくことを強くお願いする次第です。
簡単ではありますが、私からの挨拶とさせていただきます。
(2013年5月25日総代会)
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